「コラム」2019年11月17日
神出鬼没の熊―村中を駆け廻り餌を漁る
 今年程、熊が話題になることはなかった。10月頃から目撃情報や爪跡足跡大糞情報と枚挙にいとまがない。最初に聞いたのは、ブドウ栽培のハウス被害だった。次は、例年の栗の被害でなく柿の被害が主だった。市に連絡をして捕獲檻を設置してもらった
                        
              クマだな                クマ用捕獲檻
 しばらくして100㎏級の雄がかかった、殺処分されたようだ。またしばらくして同じ場所でもう一頭、少し離れた場所でも一頭、近隣の村で一頭、隣町で三頭と七頭にもなった。まだ、何頭かいるようである。2~3日前我が家の前の畑にも大きな熊の足跡がついていた。近辺で熊出没の痕跡が相次ぐ中、少し慣れっこになっていたこともあり、あまり気に留めていなかった。ところがすぐ近くにあるもう一枚の野菜・豆類栽培の畑に入って見て大びっくり。大豆が食い荒らされ糞が至る所に散乱していた。これは新たな発見だった。枝豆だけはと思い、急いで収穫した。今のところ人間への被害はないが、油断禁物である
            
        大量の糞              食い荒らされた大豆

 熊の特徴や習性について学習してみた・国土の半分の面積には熊が生息している・他の動物を襲って食べる肉食だが、雑食化している・食べる新芽や木の実は90種類にも及ぶ・行動圏は雄で平均100㎢・熊の嗅覚は犬の約7倍・足が速く時速64㎞、ウサイン・ボルトを軽く抜き去る速さ・二層の毛で覆われていて木から落ちても怪我をしにくい・強靱なアゴと歯、噛む力は人間の7倍・金網やフェンスを食いちぎる恐るべきパワーを持っている・基本的には臆病・目はよくない・背中を見せて逃げる者を追いかける習性がある・電気柵で防ぐ、唐辛子入りのスプレーが有効。

 何故こんなにも出没するのか。個体数が増えているのか。木の実など餌が少ないのか。禁猟区なので集まって来るのか。よく分からない。最近は、温暖化が顕著で集中豪雨や地震など災害が頻発に起こっていることと関係があるのか。自然界のバランスが崩れかけているのでは。今年は雉子が走り廻り、蝶がいつまでも飛び、狐やアライグマをよく見かける。獣害という利害関係の中では共生は難しい。何かのリズムが狂い、地球異変の兆候でないことを願うばかりである。